教育/学習
子と一緒に理解したい教育の今
「何のために大学へ行くのですか?」
[2011年秋号]
もはや「大卒」であることや、「大学名」だけでは通用しない世の中になりつつあります。学生時代に「何」を経験し、「何」を学んできたのか、自身がどんな「意思」でその道を選択したのかが問われています。キャリアという観点から「大学に行く意味」を考えてみましょう。
大学時代に打ち込んだこと
海外の大学生が語るのは学問。日本の大学生はバイトとサークル
グローバルに展開する、ある日本の大手電器メーカーの人事部長がこう話していました。
「就職試験の面接で、『学生時代に打ち込んだことは?』とたずねると、海外の学生の多くは学問の話をする。一方、日本人学生の大半はサークルやアルバイトの話。学問の話をするのは、理系でもかなり少ないのが現実です」
企業は採用面接時、何を見ているのでしょう? 時代とともに評価される人材像は変化し、高度化しています。20年以上前の終身雇用の時代は、とにかく素直で真面目に一所懸命働いてくれる人を求めていました。しかし、成果主義とともに非正規、中途採用が強化され、正規雇用は狭き門となってきています。一方で、大学は「全入時代」となり、「入りやすい」大学を選ぶ傾向は高まり、大学は就職予備校化するところも現れ、内定率を上げることにやっきになりつつあります。新卒者には厳しい状況です。
面接では、大学の新卒者を見るとき、スキルでは測れないので、人間性を見るしかありません。そんなとき、「サークルで部長をしていたので、リーダーシップがある」「接客業をしていたのでコミュニケーション能力が高い」などと、肩書きで語る学生が多い。そのほうが内定を取りやすいとどこかで聞いたのでしょう。もちろん、そういった経験自体に意味がないといっているのではありません。サークルやアルバイトを通して、「どんなことに本気で取り組んだのか、失敗や挫折から何を学んで、どう乗り越えたか、周囲との関わり合いから自分はどう磨かれたか」を話すならいいでしょう。でも、それは大学に行かなくてもできること、一体大学は何のためにあるのだろうかとも感じます。
学びたいから大学に行くという人があまりに少ないのです。そもそも勉強が嫌いな人を採ると大変だと企業は感じています。わからないことを自分で調べたり、自分に足りないものは何かを把握して、それを身につけていかなければならない。これだけ社会の変化やスピードが速い時代において、学び続けることができない人は、仕事にもついていけないでしょう。目標を設定し、それに対して達成までの行動計画を立て、実行していく「目標に近づける力」を持っているどうかを見られているといってもいいでしょう。
自ら「問い」を立てて学ぶ
多くの「問い」を持つべく学ぶ
それが大学に通う本来の意味
私は短大入学後の初日、担任教授が黒板に書いた言葉を今でも覚えています。「高校までは勉強。大学からは学問」
強いて勉めるのではなく、自ら「問い」を立てて学ぶのだと教わりました。
また、別の恩師はこういいました。「講義中、寝ているくらいなら、映画でも見ていた方がよほど有意義よ」
大学とは自らの意思で学びに来るところ。学ぶ意思がなければ、大学に通う意味はない。私の学生時代は、それから本当の意味で始まりました。
社会に出ると、自らの仕事に常に問いを立て、考え抜き、他者から学び、周りを巻き込み、意見を調整し、結果を達成していくことが求められます。
たくさんの「問い」を持つためには、たくさんの「知識」や「経験」や「出会い」が必要です。だからこそ、大学に行ってたくさん学ぶのです。だからこそ、大学を選ぶ際には、「何を学びたいのか」を考えてほしいのです。
これは以前、面接時に聞いた、ある女子学生の言葉です。
「世界から戦争をなくしたい。そのためには教育が必要です。だから私はまず、なぜ戦争が起きるのか、起こさないためには自分たちは何をすべきかを、子どもたちと一緒に考えられる教師になりたい。そして将来的には海外に出て、教育を受けられない地域の子どもたちに勉強を教えたい」と。壮大な夢ではありますが、彼女は在学中にもいろいろな国をボランティアとして訪れていたことから、自分の目標に少しでも近づこうとしていたことがうかがい知れました。
大学全入時代といわれる今、どこでもいいから大学に行くのではなく、意思を持って、学びたいこと、極めたいことを実現できる大学を選択することが大切です。そのことが結果、就職、職業選択につながっていくのです。就職することは目的ではなく、みなさんの自己実現の手段でしかないのです。「問い」を立てて学び続けるのが人生であり仕事なのです。
ぜひ「今」を大事にして、自分の可能性を広げてください。どんな学びもどんな経験も、将来、自分の仕事や人生に役立つでしょう。
関連コンテンツ
Copyright (c)明光義塾
All Rights Reserved.